とわだを読む 日々の語LOG

TOWADA HIBI COLLECTION WEB MAGAZINE

BACK NUMBER

十和田の冬を楽しむコツ、教えます。
~南国育ちの夫婦が感じた北国の魅力~

九州南部の宮崎県都城市から本州最北端の青森県十和田市へ。
約1,850㎞の距離を越えて移住した家族がいます。翌年には十和田市中心部近くにマイホームが完成し、家族も増えました。
3人の子どもたちとともに北国暮らしを送る南国育ちのご夫婦に、十和田の冬を楽しむ秘訣を聞きました。


  • 鍋西久(なべにし ひさし)

    1973年 宮崎県都城市出身。北里大学獣医学部卒業後、宮崎大学農学部博士課程修了。2001年宮崎県庁入庁。2016年3月に十和田市に移住し北里大学獣医学部動物資源科学科 動物飼育管理室 准教授に着任。大学での研究成果を社会に還元すべく2020年9月、ライブストックジャパン合同会社を設立。
    公式サイトhttps://livestockjapan.com/


  • 鍋西裕美子(なべにし ゆみこ)

    1983年 宮崎県都城市出身。北里大学非常勤職員。宮崎県立農業大学校卒業。宮崎県畜産試験場にて同僚だった久さんと2009年に結婚し3児の母に。宮崎から連れてきた愛猫メイちゃんも同居中。

田舎過ぎず都会過ぎず。十和田はちょうど良かった

日本のいわば南端から北端に移住。きっかけは何ですか?

僕の転職です。15年ほど故郷の宮崎県庁に勤務して家畜生産技術の開発などに携わり、縁あって母校の北里大学で教鞭を執ることになりまして。

引っ越したのが2016年だから、もう丸5年です。

久さんは北里大学が母校。十和田市にお住まいだったんですよね?

はい。学部と大学院、合わせて5年間。もう20年ぐらい前ですけど。

裕美子さんは、それまで東北に縁は?

全然ないです(笑)。

きっと、移住について不安に思いましたよね?

ありましたけど…でも、とりあえず来て、どうしてもダメなら帰ればいい、ぐらいの気持ちでした(笑)。まず一度行ってみようと。

大らか! では初めて来たときの印象は?

初めて十和田に来たのが2015年の12月初め。雪が降って寒くて、さっそく「こんなところに住むの⁉」って不安になりましたよ。十和田は田舎だからっていうので、2日間かけて夫と八戸市や三沢市の不動産屋さんを回っても、なんだか私がピンとこなくて。あれは最終日のことだったよね。

うん。全然決まらなくて3日目の午後になって、気分転換に大学を見に行こうということになって、そこで急遽、十和田に住むことが決まりました。

今でも覚えてますが、商店街のアーケードの通りを曲がったら、「なんなんだここは?」って。官庁街通りの立ち並ぶ木々と、美術館などの新しく美しい建物のバランスが良くて、街がすごく魅力的に見えました。私にとってちょうど良かったんです。田舎過ぎず、都会過ぎず。
居心地の良さを感じてすぐに不動産屋さんに飛び込んで、ちょうど1部屋だけ空いてたアパートに決めて…って感じでしたね。

移住の際に利用した移住支援制度はありますか?

十和田市に転入し、住宅を新築する人に向けた補助制度(「十和田市移住・定住住宅取得等支援事業補助金」)があったので利用しました。おかげさまで2017年の秋には家が完成しました。

スキー、ワカサギ釣り、かまくらまで。冬ならではの遊びはそこら中にある

とても素敵なお住まいですよね。玄関からリビングにかけてサーフボード、ラジコン、釣り道具、長靴、スキー板、自転車…などなど色々なものが置いてありますが、もしやご家族そろってアウトドア派ですか?

そうですね。僕はサーフィンとスノーボード、釣りも好きです。子どもたちを連れて釣りに行くこともありますね。ラジコンは子どもたちの趣味です。

外でばっかり遊んでます。雪が降っていない時期は庭にテントを立てっぱなし、プール出しっぱなしで、昼も夜も庭でバーベキューして、みたいな。家族みんなでサイクリングにもよく行きますよ。十和田は遊ぶところがたくさんあっていいですよね!

冬も外で過ごすことが多いんですか?

そうですね。こっちに来てスキーにはまりました! 今シーズンは奥入瀬渓流温泉スキー場の年間パスを買ったので、ほぼ毎週末スキー場にいます。長男はスノボ、次男はスキーが大好きで、三男は1歳になった今年、雪山デビューしました。

釣りは1年中できるので、僕と子どもたちとで冬も行きますよ。この間も次男の希望で小川原湖にワカサギ釣りに行きました。帰りに温泉に寄るのもいいですよね。

私は温泉があんまり得意じゃないので、子どもたちを連れだしてくれている間にパンを焼いたりアンティークのお店を巡ったり。1人の時間を楽しませてもらってます。
宮崎にいた頃は家庭菜園をしてて、冬もたくさんの野菜を収穫できたんですが、こっちでは冬に野菜が作れないのは寂しい…その分、スキーをして楽しんでいます。

今年はコロナ禍で諦めましたが、「十和田湖冬物語」には毎年行っていました。奥入瀬渓流の滝が凍っているのを見たり、冬でも官庁街通りを散歩して、イルミネーションを見たり…。同じ場所でも季節で全然違う顔を見せるから、近場で楽しめるよね。

そうそう。どこにも行かなくても、子どもたちは庭でかまくら作って、その中でおやつ食べたりして楽しそうだもんね。

冬は早起き&服装にポイントあり!覚えておきたい暮らしのエトセトラ

冬の暮らしで注意すべき点はありますか?

歩き方!
最初の頃はちょっと歩けばコケて、ちょっと歩けばコケて。で、やっと冬用の靴があることを知りました。最初は幼稚園のママたちに「地面を擦るように歩くんじゃなく、真上に足を上げておろすんだよ」とか歩き方のアドバイスをもらって、この間やっと「最近コケなくなったね」って言われました(笑)。あと、屋根からの落雪がないか、上をよく見るようにしてます。

水道管凍結防止のために水抜きをしなくちゃいけないとか。車関係だと、スタッドレスタイヤは必須。凍って剥がれなくなっちゃうのを防ぐためにワイパーを立てておくこと、サイドブレーキを引かないでおくこと…。

冬になると忙しいよね。朝早く起きて雪かきしたり、通勤は道路状況を見て早めに出なきゃいけないとか。

宮崎だと朝、日が昇るのが遅めで、その分、日が長い。こっちは朝明るくなるのが早くて、日没も早い。朝が早くなりましたね。

子どもの遊びの中での注意点はどうでしょう?

氷の上で転ぶとケガが大きくなるし、雪が積もって車が見えにくくなるので、冬場ならではの危険に気を付けるようにとは言ってますね。本当に危険なポイントだけは注意して、あとは実際に体験して学んでもらおうかと思っています。
次男は幼稚園のときに引っ越してきたのですが、以前は引っ込み思案で泣き虫だったのが、十和田に来てからすごく逞しくなったんですよ。仲良しのお友達とスキー場で待ち合わせして一緒に滑っているんですけど、私を置いてどんどん先に行っちゃって。今や怖いもの知らず!
だからそういう野蛮なことというか(笑)…には、どんどんチャレンジさせていきたいです。

服装なんかも北国と南国とでは違いますよね?

都城市の冬って意外と寒くて、最低気温-3℃だったりするんです。でも日中は15℃くらいまで上がるので、ダウンとか着ないんですよ。でも下着はすごく暖かいものを着ていましたね。
こっちでは建物の中が暖かいから、中は薄着で、その上にダウンやすごく暖かいウェアを着る。
子どもの通学だと、上はジャンパー、下は普通のズボンの上から防寒ズボンを重ねて、スキー場に行くときはそれよりさらに一段上の防寒対策でスキーウェアを着る…とか、状況に合わせて変えますね。
あと靴。宮崎の知人が冬に来る時はこちらで冬用の靴を買っておいて、三沢空港で履き替えてもらいます(笑)!

厳しい冬が十和田の四季を輝かせる

「冬が大変でしょう」って言われることが多いけど、意外と嫌いじゃないんですよ。寒さも雪も。冬は運動不足になりがちだから、雪かきも苦じゃない。
でも最近は、無駄に雪かきしなくなりました(笑)。私があくせく雪かきをしているのにご近所さんがしないから「なんでだろう?」と思っていたら、雪が降り続いている間は皆さんしないんですね。降り終えてからやったほうが合理的、と(笑)。

冬が厳しい分、春がすごく嬉しいよね。

それは言えてる! 季節のメリハリがあるよね。桜もすごくきれいだし、夏は緑が生き生きとして、秋は〝山が燃える〟ってこういうことか…と感動するし。

祭りがすごく盛り上がるのもそれだよね! 厳しい冬があるから、その前の秋祭りがあんなに盛り上がるんだと思います。地元ではあんなに盛り上がる祭りはなかったからね。

秋祭りの頃に宮崎の友人が遊びに来たことがあって、「なんなんだこの祭りは⁉」って驚いてましたもん。

なるほど。ご夫婦揃ってアクティブでポジティブ、楽しむことが上手ですね。戸外で自然とふれあうことで、日常の中から楽しみを見つけていく感性も磨かれていくような気がします。お話をうかがって、もっと冬を楽しみたい!とワクワクしてきました。

本日はありがとうございました!

今回の取材場所

鍋西様ご自宅

PAGE TOP