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TOWADA HIBI COLLECTION WEB MAGAZINE

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移住フォーラム第2弾 移住女子会 Part①

 2017年12月3日に開催された十和田市移住フォーラム第2弾、テーマは女子会! ウェブメディアや雑誌の編集を手がけ全国を飛び回る”編集女子”&十和田に移住した”移住女子”、総勢5名が一堂に会し、本音トークを繰り広げました。

  • ウェブメディア『灯台もと暮らし』 編集長
    伊佐知美

    1986年、新潟県生まれ。横浜市立大学国際総合科学部卒業後、大手信販会社、出版社勤務を経て独立。これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』(もとくら)編集長・ライター・フォトグラファーとして日本全国・世界中を旅しながら活動中。オンラインサロン『伊佐知美の #旅と写真と文章と Slackコミュニティ』主宰、著書に『移住女子』。

    灯台もと暮らし http://motokurashi.com/

  • TURNS編集部 企画・地域コーディネーター
    須井直子

    1988年、横浜生まれ。大学卒業後、広告代理店・不動産業を経て、2015年より株式会社第一プログレスにて「TURNS」の企画・運営に携わる。郊外育ちで、田舎暮らしはもちろん一軒家で暮らしたこともないが、この夏に5歳の息子と1週間のお試し青森移住を体験し、すっかり青森暮らしに魅了された。

    TURNS
    https://www.turns.jp

  • 渡部環境設計事務所
    横濵久美子

    1980年東京都稲城市生まれ、北海道網走市育ち。東京の大学院修了後は個人建築設計事務所に所属し、主に住宅設計を手がける。2011年、個人事務所設立。14年、青森県野辺地町で両親と祖母のために「榑縁(くれえん)の家」を設計。16年1月に移住し、同年3月、長男を出産。

    渡部環境設計事務所
    http://watabe-aa.com/

  • NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会(おいけん)事務局・ガイド
    玉川えみ那

    1985年、十和田市生まれ。大学進学とともに上京し、卒業後は都内の写真関連会社に就職。父親が奥入瀬で事業を興したことをきっかけに故郷への思いを新たにし、2012年にUターン。結婚を機に、2013年に夫も県外から移住。現在、ネイチャーガイドとして日々奥入瀬の自然と向き合い、その魅力を発信している。

    奥入瀬自然観光資源研究会 https://www.oiken.org/

  • 字と図 ライター
    吉田千枝子

    1975年生まれ、十和田市出身。2013年に家族でUターン。グラフィックデザイナーの夫・進さんと制作ユニット「字と図」を結成し、イベントプロデュースなど活動の幅を広げる。現在の家族は千枝子さんの祖母、両親、小学2年生の長女と2歳の次男。

    字と図
    http://jitozu.com

  • 司会
    柳澤ふじこ

    1978年、青森県中泊町生まれ。フリーアナウンサー・産業カウンセラー。ラジオパーソナリティとしてはFM青森「ヒルモット」などに出演中。県内を中心にテレビ出演、イベントMCも数多く務める。NPO法人プラットフォームあおもりサポーター。

横浜≒十和田⁉                        都市の機能と田舎の暖かさを併せ持つちょうどいい街

皆さん、こんにちは! 本日は十和田市移住フォーラム第2弾「移住女子会」にお越しいただきましてありがとうございます。本日の進行をさせていただきますフリーアナウンサー、柳澤ふじこと申します。夫は十和田市出身。よろしくお願いいたします。オープニングは「編集女子が徹底分析!十和田の暮らし」と題したトークセッション。全国を飛び回る2人の編集女子にお願いしたいと思います。まずは、情報ウェブメディア「灯台もと暮らし」編集長、伊佐知美さん。

初めまして。伊佐知美です。ライター・フォトグラファー・編集者を兼任して、年間で日本全国20~30カ所、海外10カ国ほどを飛び回りながら…って自分で言うのも変ですけど(笑)、飛び回りながら取材・執筆をしています。数えてみたら、今年一番行った場所はおそらく青森だと思います。6回は来たかな? そのうち4回は十和田です。何故?というのは、この後、須井さんとお話しできればと思います。よろしくお願いします。

そしてお2人目。この夏、5歳の息子さんと1週間、青森にお試し移住をされました。人、暮らし、地域をつなぐ移住・田舎暮らし情報サイト「TURNS」編集部、須井直子さんです。

こんにちは。TURNSという雑誌を作っている第一プログレスという会社で、編集・企画を担当している須井です。移住したい人に向けて作っている記事が多いので、既に移住した方や定住している方にはなじみがないかもしれないんですが、“人”をテーマに記事を作っています。震災の後で世の中に変化が起きて、魅力的な場所は東京だけじゃないなとか、地域コミュニティが面白くなってきているなということで始めた雑誌です。今日は短い時間ですが、編集女子視点で地域についてお話しできればなと。

私は個人の名前で「移住女子」という本も出しておりまして。私たちどちらも色んな地域を回りながら取材をしているから「競合じゃないか?」って言われることがあるんですよ。

そうですね。

うちの会社の代表がTURNSさんで連載をさせていただいておりまして、だからここの関係は非常に良好だということを、補足でお伝えしておきます(笑)。視点も違いますし。

灯台もと暮らしは“暮らし”がテーマですよね。

働き方、生き方、食べ物…特に移住に限っていないんですが、自分たちが「羨ましい」と思う人を取材しようということで突き詰めていったら、20~30代で地域に移住した人たちの比重が多くなっていった、という経緯があります。都内に住んでいる20~30代の方の4割ぐらいが地域移住に興味があるというアンケート結果もあり、これを20代女性に絞ると、およそ2人に1人が興味を持っているという。

そうですね。うちのメイン読者も20~40代です。オフィスがある有楽町でイベントを開くと、バリバリ働くキャリアウーマン、みたいな方が地方で暮らしてみたいと言って来ることがすごく多い。今スライドで十和田取材の様子が出ていますけど、これは十和田市さんと一緒にやった企画です。東京から15名ぐらい連れてくる移住体験ツアーで市内を巡りました。実は私も初めての十和田、初めての青森だった。

ツアーなんか組んでるからプロかと思いきや、実は初…。

あはは(笑)。誤解を恐れずに言えば、青森ってすごく田舎だろうなーと思って来ました。

横浜のご出身ですよね。

神奈川出身・在住です。東北方面ってあんまり来たことがなくて、「寒そうだなー」ぐらい。でもツアーで街なかを歩いて、奥入瀬に行ってカヌーをして、裂織体験してってゴールデンなコースを体験して。「十和田ってなんて田舎くさくないんだろう」って思ったんです。このトワーレの建物を見た時、羨ましくなっちゃって。おしゃれですよね。「何ここ、私が住んでるとこより都会じゃん!」(笑)。で、7月には、今日も来ている5歳の息子を連れて、青森県南部エリアで一週間のお試し移住企画をやったんですね。その時にもう一度十和田に来て、「あれ?」ってなりました(笑)。最初のときは新幹線で来てバスで市内に直行というコースだったのが、お試し移住の時は車で八戸方面からずっと風景を見ながら来たので、その時初めて「ああ、十和田も田舎なんだな」って思いました(笑)。

へー! 第一印象は都会に近いイメージで、その次は違った。

市街地がきれいに整備されているってところと、お会いする人があんまり訛ってないのが都会っぽい。

それは私も思います。偉そうだけど(笑)、十和田、訛ってない!

私は奥津軽の出身で、訛りを出すと多分お二人は全然何を言ってるか分からないと思うんですけど、この辺の方は言葉がきれいですよ。イントネーションもそんなに標準語と離れてない。

私は「ことりっぷ」という旅ガイドの媒体に連載を持っているんですが、アート好き女子の旅というテーマになると、十和田は出てきますよね、やっぱり。東京からは離れているけど新幹線ですぐ行けるし、頑張れば日帰り、時間によっては泊まりたい距離で、都会の価値観みたいなものを少し持っている街。来る前からそんなイメージがあったし、実際に来てもその通りでした。「なんじゃこの美術館、図書館、この建物たちは!」っていうところから車で30分、1時間行くと奥入瀬渓流、十和田湖に行ける。私も色々旅には行きますが、その中でも十和田湖、奥入瀬はすごいですね。何か引力を持っている場所だと感じました。

伊佐さんは青森県自体には来たことがあって、十和田には今年の春に初めて来たんですよね。

焼山のお試し住宅に、4~5名のスタッフで1週間ぐらい泊まらせていただいて、寝泊まりをしながら市内の方々に取材をさせていただいて記事を作ったものを、公開しています。(※①)他地域でもしつこく1週間ぐらいいて、10~15本ぐらいの記事に作ることが多いですね。それらをまとめたものをコンセプト記事、扉記事と呼んでいるんですが、この十和田市の特集はこういうものだ!っていうタイトルを付けるんですね。

何てつけたんですか?

「きっとあなたも夢中になる」ってつけちゃいました。編集部全員、夢中になっちゃったんですよね、正直言って。うちのカメラマンはその後、プライベートでも来ているんですよ。取材ではゆっくりは見られないですよね。それをもうちょっと堪能したいな、という。それと、会いたい人ができちゃった、というのは大きい。

それはありますよね。十和田に最初に来た時、役所の人の歓迎してくれる感じがすごかったし、街の人たちも、よそ者だって遠ざけるでもなく近い距離間で話をしてくれて。全国を見ててもなかなかないですよね。

そうそう。この距離感はなかなかないです。役所の方が名前を覚えてくれてるという関係もあまりないし、補助金の制度って色々あるけど、こんなに知っていて活用している街もないんじゃないかな。

この場もね。(移住先になる)現地で、地元の人に向けて移住をテーマにイベントをするというのはなかなかないなって。

しかも集客力、すごいですよね(笑)。それであの、須井さんが息子さんとお試し移住をされたところまで話しましたね。

はい。息子、5歳にして3回目の青森です(笑)。私はよく仕事に彼を連れて行っていて。伊佐さんほど飛び回れないけど、ピンポイントで青森によく来ているという。彼の中で、東京以外だと青森がかなり上位ですね。

あれ面白かったです。農家民泊されたときに…。

1週間の滞在のうち、最後に八戸市の隣の南部町で農家民泊したんですけど、息子がそこのおじいちゃんが話すのを聞いて「ねぇママ、英語喋ってるよ! どうしたらいい?」って(笑)。標準語以外は全て「英語」って言う(笑)。

あははは(笑)。でも1晩経ったら大丈夫だったんですよね。

会話は成立しないけど、意思は通じるようになったんですよ!

すごい! 保育園にも行かせたんですよね。スパルタだなー(笑)。

はい。子どもを預けるのも企画の一部ってことにしてしまって。帰ってからもよく気にしてますよ、青森の天気(笑)。

「移住してもらうには?」って話をする時、「関係人口を増やそう」みたいなのがあるんですよね。天気を気にするとか、物産展が来たら行っちゃうとかって、最強の関係人口予備軍。

そうそう。私も移住したい方、された方のお話をよく聞くんですけど、子どもってやっぱり、きっかけになりやすいのかな。子どもが生まれて、子育て環境を考えたときに移住したい、とか、今はまだ独身でも、将来の子育ては地方でしたい、とか。

それめちゃくちゃ聞きます。自分だけじゃなくて、子どもや家族の幸せを考えると、水がきれい、食料が豊富で安全、とか、考える基準が決まってきますよね。

私が1週間居たときも、テーマは子育てだったので、7泊8日、ほぼ女性にしか会わなかった。結果、子育ての観点で言うと、「いいなぁ」って思うこと、多かったですね。

横浜はいいところですけど、子育ては大変みたいですもんね。まず産む時にベッドがない。私の友達は40万円ぐらいかけて私立の病院で産むしかないって言ってました。

選択肢が限られちゃうね…。今日ゲストで来てもらう横濵久美子さんのところに取材で行ったんですけど、印象的だったのが「子育てで困ることがない」っておっしゃっていたこと。子どもにとって過ごしやすい環境なんだなっていうのが伝わってきました。

今日は「移住」と「女性」がテーマで、これから出るお三方は、全員がご結婚されていて、子育て中の方もいらして、かつ全員が一度、都会に出ていらっしゃる。自然や子育てのしやすさもあるだろうけど、十和田のいいところは都会的な洗練された部分も持ち併せているってことなんじゃないかと。ゲストの皆さんにはその辺を聞いてみたいですね。

本当に第一印象が“都会”だったんですよね。横浜と十和田って変わらないなって思って。

皆さん、ここの感覚って分かりますかね?

まぁ違うところは違いますけど(笑)。個人的な感想では都会ですよ。で、2回目に来た時「やっぱり青森だ」と。都会的な中に田舎の良さが滲み出てる、これは他の街だとあまりない。伊佐さんは十和田の印象どうですか?

私はパソコンと電源があれば仕事ができる、いわゆる「ノマド族」ってやつなんですけど、ここにいると仕事もしたくなっちゃうんですよね。「ここならいい原稿が書けそう!」って。アートな雰囲気もあるし、疲れたら自然の中に出て楽しめるし。あと、夜ちゃんと暗いっていうのは大きいです。夜暗いとか静かって、けっこう貴重なことなんですよね。あと、店がちゃんと閉まってくれる。

確かに! それ大事! 編集女子からすると、「あ、取材はもっと早く切り上げるものなんだ」って気づかされる(笑)。

(笑)。そういうリズムがちゃんとある。都会のものもあるし自然もある、かつ、会いたくなる。何度か来てる私に「誰?」って顔をせずに「伊佐さん!」みたいな温かさに、やられちゃいますよね。ズルいですよ(笑)。移住を決める要素って色々あるけど、「おかえり」って言ってくれる人がいるかどうかって、最後のすごく大きい決め手だと思うんですよね。

結局、人ですよね。誤解を恐れずに言うと、青森の女性は“ガハハ系女子”が多いなと思っていて。

“ガハハ系女子”?

やっぱり寒いじゃないですか、冬。寒いけど、生きるためには引きこもってられないじゃん、と。そういう強さを取材の時にすごく感じて。ある意味、吹っ切れているというか。「とりあえず笑おう!」みたいな。すごく元気なんですよね。

ガツガツしていないけれど芯の強さを感じるというのはありますね。寒い方が美味しくなる野菜ってあるじゃないですか(笑)。

そうそう、そういうこと(笑)。気候と人ってつながる部分がすごく大きいですよね。

こういう女性たちみたいに暮らしたいな、羨ましいなって見ていましたね。

私、今回が青森の冬、初めてなんですよ。雪道運転になるのかって不安でしたけど、大丈夫でしたね。温泉に寄って帰ろうっと。

日帰りで行ける距離に色んな温泉があるっていうのはいいですよね。私の地元にも温泉はあるんですが、泉質が違うんですよね。

山奥に行けば温泉があるのは分かるとしても、この辺は街の中のお風呂が、銭湯かと思いきや、ちゃんと温泉じゃないですか。気軽に行けるの、いいですね。これが意外と他の地域にはない。

冬の十和田もいいですよ。この時期、青森市では積雪がすごいですが、こちらは雪が少ないですからね。止まらない十和田愛、会場の皆様も感じられたと思うんですけど、前半のトークはここまでとさせていただきます。伊佐さん、須井さん、どうもありがとうございました。

今回の取材場所

市民交流プラザ トワーレ

 隈研吾氏設計の市民交流プラザ「トワーレ」は、「みちと広場を融合させたにぎわいの広場」をコンセプトに平成26年10月14日にオープンいたしました。
 イベントの他、市民活動支援ゾーン、たまり場ゾーン、子育て支援ゾーンなど多数の用途で市民から利用されています。
 気軽に立ち寄れる場所となっていますので是非ご利用下さい。
住所:〒034-0011 青森県十和田市 稲生町18-33
TEL:0176-58-5670
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