移住者インタビュー

この森の美しさと、生命の豊かさに惚れて。

COLLECTERS INTERVIEW#008

ネイチャーガイド

村上 周平さん

出身地:北海道栗山町(Iターン)
移住年:2008年
職業:カヌーガイド・ネイチャーガイド

1980年、北海道栗山町に生まれ岩見沢市で育つ。恵庭市のアウトドア専門学校を卒業しリバーガイドに。27歳で移住後、現在は青森県内でアウトドアグッズ販売・ツアー企画を手がけるネイチャーエクスペリエンス グリーンハウス(NEx)に所属。2012年、十和田市出身・在住の女性と結婚し、14年に長男が誕生。家族とともに市内で暮らす。

生命豊かな森に惚れて

 十和田湖畔、午前5時。村上周平さんの1日が始まります。村上さんの仕事は十和田湖・奥入瀬渓流・南八甲田山麓の自然の魅力を紹介するネイチャーガイド。特に青森県と秋田県にまたがる十和田湖は、湖を水源とする奥入瀬渓流とあいまって独特の自然美を形成し、多くの文人や芸術家に愛された国内屈指の名勝地です。十和田湖カヌーツアーは国内外の観光客から人気で、最盛期の7~9月は睡眠時間を削る忙しさ。けれどどれほど忙しくても、ストレスは感じないといいます。
 「湖上に出ると気持ちがゆったりする。体力的には疲れますけど、同時に仕事で癒されてもいますね」
 約2時間の早朝カヌーツアーは、湖を囲む外輪山(がいりんざん)の奥から昇る朝日とともにスタートし、湖上で温かい紅茶とブラウニーを堪能。村上さんの的確なアドバイスで、カヌー初体験の初心者もいつの間にかコツを掴んでいきます。魚が泳ぐように湖面を進み、水鳥と同じ目線で森を眺めれば、人間もまた大自然の一部であることを再認識。美しい風景を通して心静かに自分と向き合える。忙しい現代人には貴重な時間です。
 「倒れた老木を苗床に新しい命が芽生え、その周りに暮らす菌類が枯れ枝や落ち葉を分解してきれいにして…と、無駄な命は一つもない。移住のきっかけは仕事でしたが、住み続けようと決めたのはこの森の美しさと、生命の豊かさに惚れたから」
湖上に枝を伸ばしたブナの大木に、村上さんは愛おしそうに触れました。

一生の仕事を求めて海を渡る

 北海道の中央付近、空知地方の南部に位置する岩見沢市で育った村上さん。高校卒業後は営業職や配達員などを経験しましたが、目標が定まらずにいました。そんなとき心に浮かんだのが、アウトドア好きな父と行ったキャンプや登山の思い出。24歳でアウトドアガイド養成専門学校に入学しました。実習先のニセコでラフティング(専用ゴムボートを使った激流下り)やカナディアンカヌーのガイド資格を取得。ガイドデビューを果たしました。先輩に教わりながら現場で知識と技術を磨き、卒業後もアウトドアショップスタッフとガイドの二足のわらじ。
 「お客様も川の状態も毎日違って刺激的。やればやるほど奥深いからハマっちゃいましたね」
 青森県で新規開業するアウトドアツアー会社からオファーが舞い込んだのは、ガイドに専念したいと思い始めた27歳のときです。青森にはなじみがなかったものの、不安より意気込みのほうが勝っての移住。開拓地が多い北海道とは違う自然に感激したといいます。
 「何万年も前の火山の噴火からさまざまな環境が生まれ、環境に合った生き物が育つ。長い時間をかけてできた重層的な自然が残っているのは、この街の価値ある財産です。そんな豊かな森が市街地から車で40分の距離にあることは、すごいことです」
森は清らかな水をつくり、農業も支えます。にんにく、長いも、ごぼう、長ネギなど良質な十和田野菜には、シェフも注目しています。

地元にこそ伝えたい自然の魅力

 移住後、ガイドとしての姿勢にも変化が。
「ラフティングのようにアクティブに自然を遊ぶ手法から、ゆっくりと感じて楽しむ方向にシフトしました。お客さまには、いつもここで過ごしている僕が感じた森の魅力を伝えたいし、訪れる方の感じることも大事にしたい」
 村上さんが所属する『ネイチャーエクスペリエンス グリーンハウス』ではシーズンごとにツアーを企画し、年代や体力を問わず楽しめるランブリングが人気です。“ランブリング”とは目的を決めず気ままに歩き回ること。定番の見どころだけでなく、参加者が関心を寄せたものに注目して解説します。
 「見たことのない生き物や植物に出会うとワクワクします。知れば知るほど面白いし、知らないのはもったいない。地元の方でも奥入瀬を歩いたことがないとかいう人がいると、惜しいと思うんですよね。だから地元や子どもたちに向けた企画もやってみたいなと。自然に触れて楽しみ方を覚えることで、自分たちが住む地域をもっと好きになったり、誇りを持ってくれたら」
 プライベートでは父親の顔も持つ村上さん。長男・唯月(いづき)君には1歳から泳ぎを教えたりカヌーに乗せたりと、アウトドアの英才教育を施しているとか。単身の移住から3人家族へ。家族を通して地域の未来を見つめる日々です。

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