とわだを読む 日々の語LOG

TOWADA HIBI COLLECTION WEB MAGAZINE

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034 ひとときの”絵本サンポ”はいかが?
~滞在型絵本カフェをオープンした3児のママ、移住と起業のお話~

十和田市西四番町に、ちょっと変わった絵本カフェがオープンしました。
その名も「絵本とサンポ」。一度に来店できるのは1組だけ。
秘密基地を思わせる空間。45分間、貸し切りで絵本と向き合える場所です。
移住のこと、起業のこと、お店のこと。オーナーの関口綾さんに語っていただきました。

  • 絵本とサンポ
    関口 綾(せきぐち あや)

    1981年、福島県石川町生まれ。7歳でフィギュアスケートを始め、東北福祉大学時代はダンスに情熱を注ぐ。卒業後は仙台でチアリーダーとして活動し、キッズチアのコーチを務める。その後、介護福祉士、保育士として働く。2021年8月、十和田市に移住。2022年3月、貸し切り制の絵本カフェ「絵本とサンポ」オープン。3児の母でもある。

移住と同時に起業。移住仲間の設計で思いが形に

本屋さんで床に座るって新鮮です。壁中に絵本が詰まった本棚があって、ワクワクするものしかない! どういうお店なんですか?

貸し切りの本屋で、コーヒーなんかも出すので“絵本カフェ”かな。45分間の時間を設定していて1組様限定。今のところ、掃除や換気を含めて1時間ごとにお客様が入れ替わるようになっています。

本屋さんとして珍しいスタイルですよね。

ちょっとずつ形を作っていったんです。最初に決めたのは「靴が脱げる絵本屋を作りたい」。赤ちゃんがハイハイしたり、寝かせていても大丈夫っていう風にしたかったからなんですけど、じゃあそこで家族が楽しむには、他のお客さんがいたら気をつかっちゃうよね?って考えて貸し切りにしたんです。でも1組のお客様が「1日中ここにいます」ってなると他のお客様が来られない。じゃあどうしよう?と考えて今のようになりました。

設計は同じく十和田市に移住された渡部さん(渡部環境設計事務所)とのことですね。
※渡部良平さんのインタビューページはこちら:https://towada-iju.com/interview/007.php

はい。私が「小さい頃、狭いところに隠れたり、低いところをくぐったりするのが楽しかったな」って言ったら、渡部さんがこういう風にしてくれたんです。

部屋の中にアーチがあって屋根みたい。仕切りがあることによって8坪の中にいくつも小部屋があるような感覚で、確かに子どもの秘密基地っぽい。落ち着きますね。

私の思い出や好きなものを建築という形に落とし込んでくださる。すごいな、プロフェッショナルだなって本当に感動しました。

どういう経緯でお店を開いたんですか?

以前は仙台に住んでいて、移住したきっかけは夫のUターンですね。夫はサラリーマンをしていたんですけど、40歳を機に十和田市に帰ると決めました。そこで私も十和田市で何かやろうと考えました。

どうして絵本屋さんなんですか?

移住前は福祉関係で働いてきたんですけれども、そこで絵本っていうのが、私を助けてくれる存在だったので。

私、人見知りで、たとえば利用者の方といきなりコミュニケーションを取るように言われてもちょっと難しかったんですね。でもそのとき「私この絵本が好きで」って持っていくと、そこから会話が生まれたりして。子どもの場合も同じで、子どもがどっと来てどうしようっていう時に絵本が1冊あるとみんながまとまるんです。「絵本があれば大丈夫」みたいな。

絵本が大事な存在だったんですね。ちょっと具体的に掘り下げていきたいんですが、移住と同時に起業もということで、利用した制度などはありますか?

お金とメンタルの両面で支援していただきましたね。引っ越しに関しては「十和田市移住・定住引越し支援事業補助金」を活用しました。中古住宅を購入したんですが、それも「十和田市移住・定住住宅取得等支援事業補助金」を活用しました。
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【補足情報】
・十和田市移住・定住引越し支援事業補助金 ・十和田市移住・定住住宅取得等支援事業補助金
 → https://towada-iju.com/category/190308_140244(日々コレ十和田ナリ)
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起業に関しては「創業相談ルーム」を使いました。「十和田市創業支援・空き店舗等活用事業補助金」っていうのを活用したのと、「店舗設計やデザインを考えてくれる人はいませんか?」と相談したら渡部さんを紹介していただきました。
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【補足情報】
・創業相談ルーム ・十和田市創業支援・空き店舗等活用事業補助金
 → https://www.city.towada.lg.jp/sangyo/koyou/soukigyoushien.html(十和田市ホームページ)
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しっかり情報収集して、活用できるものはフル活用した感じですね。

家族の実験場に市民出前講座計画。楽しみは自分で見つけ作り出す。

十和田市で暮らしてみて、今のところいかがですか?

移住前は、夫の両親と親戚以外は誰1人友達がいなくて、めちゃくちゃ心配があったんですけど楽しみもあったので、頑張りました。例えば、帰省のときに食べる「かっけ」とか「バラ焼き」とかがもともと大好きだったので楽しみでしたね。

実際に暮らしてみたら、想像以上に友達ができましたね。お店をやっているってことがすごく大きいと思います。それと渡部さんも移住者なので、そこからどんどん広がっていったっていう感じです。十和田市ってアートがあちこちにあって、面白いまちだなっていう印象そのままに、そこに住む人も面白いなって。チャレンジショップをやっている方とか、親子でゲーム会を主催している方とか。旅をテーマにした本屋さんとか。

皆さんウェルカムな姿勢でいてくれるんですね。

はい、皆さんとても親切です。素敵な人に気軽に出会えている感じがあります。

生活の変化は色々あると思うんですけど、他にはありましたか?

大きく変わったのは遊び方ですね。以前は百貨店、カフェ、公園とか、毎回違うところに行ってたんです。ママサークルがけっこうあったので、イベントに参加したりしていました。

今は、夫の祖父母が住んでいた空き家を基地にしています。その家の前を畑にして義父が野菜を作っているので、子どもたちが思い切り走り回ってて、もぎたての野菜を食べるっていう。夫はそこでメダカを育てたり、木工をやったり。私はクルミインク作りに挑戦しました。クルミを煮詰めたらインクができるって聞いてやってみて、すごく臭いんですけど(笑)、でも本当に字が書けるようなインクができたんですよ! 家族の実験の場みたいな感じで、大人も子どもも本気で遊べるいい場所なんです。

家一軒と畑と庭と。贅沢ですね~。

この話をすると、十和田市ではけっこう皆さんそういう場所を持っているみたいで「うちも」「うちも」って。前は決まった形の楽しみがあってそこに参加する、みたいな感じだったのが、今は楽しみは自分で見つけて作り出すっていう感じ。市役所の周りに現代アートがあるっていうのも好きです。行政の建物って、行くとちょっとかしこまってしまうんですけど、ここは周辺にアートがあることによって、気持ちが子どもに戻れるような感じがします。

十和田市内でよく行く場所、おすすめの場所はありますか?

「Cafe Happy TREE」です!おすすめはコーヒーとパンケーキ。テイクアウトメニューもすごく美味しくて、週1くらいでオーダーしています。「今日はタイだよ」「今日はアルゼンチン」って毎週、世界中の料理を作ってくれて、もう天才的。私の中では、あそこはニューヨークです(笑)。

地元の方とはどんな風につながっていますか?

やっぱり絵本好きな方との出会いがたくさんあります。「絵本と音楽の会」っていう、夜に開催される大人の会があるんです。ギターの弾き語りや、音と絵本の読み聞かせとか。図書館の施設の中にある研修室でやってます。この間は、私も読み聞かせに初挑戦しました。人に伝える楽しさをすごく感じて、これからもそこは楽しんでいきたいなと思っています。

プライベートも楽しんでいますね。じゃあ逆に「こうなったらいいな」はありますか?

自分の子どもだけじゃなく地域の子が何かやりたいなっていうときに、チャレンジできる場所があるといいな。それを私も何か手伝えたらなって思います。

子どもが「こういうことをしたい」って言ったとして、「詳しい人を知ってるから紹介するよ」とか「こういう講座に参加するのもいいんじゃない?」とか伝えられるような。私が何かをつなげるようなことができたらいいなと思っています。

それぞれ特技を持つ人と子どもたちをマッチングとか、コーディネートするイメージですね。市民による出前講座みたいな感じですかね。

家族だけでやるんじゃなく、せっかくだから地域とかコミュニティでやれたらいいなと思っています。十和田市はまちを歩いていても地域の方が声をかけてくれて、すぐ仲良くなれるので、一人ひとりの得意なことをお聞きして、先生になってもらって…ってできたらいいですね。

移住を機に有言実行。「何でも何歳からでも、チャレンジしていい」

お店のお話に戻りますが、どんなお客様が来られるんですか?

やっぱり絵本好きな方が多くて、思っていたよりも幅広いですね。お一人で来られて、夢中になって絵本を読んでる男性もいましたし。子育てが終わった大人の女性もいらしたり。その女性から私はいろんなことを教えてもらっているんですが、それを別の若い子育て中のお客様にお伝えしたら顔がぱっと明るくなったことがあります。絵本を売ってるだけじゃない、何かが生み出されているのかもしれないって感じました。

リアルな店舗ならではの交流ですよね。

赤ちゃんのお母さんが外に出るって相当ハードル高くて、自分がそうだったので、出かけるからにはいい時間を過ごせるようにっていうのは、すごく考えました。

だから、予約した時間にちゃんと来れないと、すっごく申し訳ありません!って感じで入ってこられる方がいらっしゃるんですが、全然いいですよ。私自身も今まだ子育て真っ最中ですし、その気持ちが分かります。

3人のお子さんの子育て真っ最中。平日のみ営業、予約はSNSのみというのも、生活とのバランスを取るためですよね、きっと。

上の子は小学生ですが下の子はまだまだ小さいので…もう少し子どもが育ってきて、私がおばあちゃんぐらいになったら、「なんでもやるよ。いつでも来て」って感じにできればいいなって思っています。

なるほど。未来の計画もありますか?

未来はまだ分からないですけど、今はちょっとずつ活動を広げていきたいなと思っています。小学生が来られそうなら、英会話の先生に英語の読み聞かせをお願いするとか。
個人的にも新しいチャレンジを始めたんですよ。「ビバップ」っていうジャズダンスを習い始めたのと、ハワイアンダンスのサークルも立ち上げました。みんな何でも何歳からでもチャレンジしていいんじゃないかって思うので、まずは自分からやっていこうってチャレンジしています。

素敵ですね!

フィギュアスケートから始まって、ずっと身体で表現することをやってきたので。子どもたちが自分を表現するお手伝いもできたらいいなと思っています。

やると決めたらやる。ずっとそういう感じだったんですか?

そうでもないです。けっこう挫折もあったので。でも、だからやれるのかもしれない。タイミングを逃したら、やらないで終わっちゃうんですよね。いっぱいチャンスを逃して悔しい思いもしてきたからこそ、この移住をきっかけに、どんどんやってやろうって思えるのかもしれないです。

お店も関口さんも、これからパワーアップしていきそう。ときどき近況を聞けたら嬉しいです。本日はどうもありがとうございました!

今回の取材場所

絵本とサンポ

〒034-0084 青森県十和田市西四番町7−52−1
WEBサイト:https://www.ehontosanpo.com/
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