2024年10月12日(土)、地域交流センター「とわふる」大ギャラリーにて、十和田市高校生魅力発信プロジェクト「TowaPro(とわプロ)」動画完成発表会が開催されました。
そこで今回の語ログは、動画発表会の様子をレポート。さらに、TowaProに参加した高校生と、企画・運営を手掛けた十和田市移住コンシェルジュ(地域おこし協力隊)・渡邊ゆうみさんに思いを語っていただきました。この記事では前後編の前編として、渡邊さんのインタビューをお届けします。
わたなべ ゆうみ
渡邊 ゆうみ
1998年、埼玉県出身。埼玉県内の高校を卒業後、エネルギー関連業をはじめさまざまな職種を経験。仕事で知り合った2人の仲間とともに起業を志し、2023年8月、仲間の1人の出身地である十和田市へ移住。十和田市移住コンシェルジュに着任するとともに「Livvy(リヴィー)」の名で起業準備中。
前回取材記事はこちら
https://towada-iju.com/collection/webmagazine/039
TowaProは2024年春に始動した“高校生×地域おこし協力隊”の初のコラボレーションプロジェクトです。十和田市内の高校に通う生徒が高校の垣根を超えてチームを組み、若者目線で地元をリサーチ。地域の魅力を発掘して、30秒程度のショート動画にまとめる取り組みです。
三本木高校と三本木農業恵拓高校の2校からあわせて12名の女子高校生が参加。4名ずつ3チームに分かれ、各チーム4本以上の動画を制作しました。撮影と動画編集は、夏休みを利用して行われました。
動画完成発表会第1部では、企画・統括を担った十和田市移住コンシェルジュ(地域おこし協力隊)の渡邊ゆうみさんが総合司会を担当。高校生たちは動画のテーマや見どころを自ら説明した後、スクリーンにショート動画が投影されました。
各チームの動画発表の後は、移住希望者・移住者の相談役を務めるボランティア「十和田市移住応援サポーター」等を代表して、十和田発酵食文化協会 会長の矢部聖子さん、せせらぎと焚き火を眺めるだけの会 主宰の冨田哲也さん、㈱ビーコーズ コミュニティマネージャー佐藤佑志さんによる講評も行われました。
ゲストによる講評一覧
「家に高校生が泊まりに来てくれて、楽しかったです。農作業の楽しさが出ている動画で嬉しかった。ここまでよく頑張ったね! 私も十和田が大好きなので、これからもPRをよろしくお願いします」(農家民泊の受け入れ先として撮影に協力した矢部さん)
「SNSでの発信には今や動画が欠かせませんよね。動画を見ていたら僕も、体験してみたい!食べてみたい!見てみたい!って思いました。市外の、特に若者には、このリアルな若者目線が響くんじゃないかな」(冨田さん)
「情報を伝えようとするとき、伝え手側の気持ちが入っているかどうか、受け取り手側はやっぱり分かってしまうと思います。だから、まずは楽しむのが一番。皆さんの動画からは楽しさが伝わってきました。これからも体験を伝える人になってね」(佐藤さん)
続く第2部は、お菓子を食べながらの交流会。リラックスした雰囲気の中、TowaProメンバーが移住者や地元住民と言葉を交わしていました。
十和田市移住コンシェルジュ(地域おこし協力隊) ・渡邊ゆうみさんへインタビュー
そもそものお話からうかがってもいいですか? このプロジェクトは渡邊さんが企画されたんですよね。
昨年の10月ぐらいから構想を練っていたので、1年かけて形になったプロジェクトですね。具体的に動き始めたのは今年度の4月からでしたが、チラシを作り高校に行って直接、ご説明する機会もいただきました。不安でしたが先生方がすごく前向きに考えてくださったのがありがたかったです。
「市内に3つある高校の生徒さんをミックスしてやりたい」という考えが最初にあって、今回は2つの高校から応募をいただいて、2校の交流をしながらの活動になりました。定員を超える応募があったので、志望動機を書いてもらって選考させていただきました。本当はみんなでやりたかったのですが…
スケジュール感はどんな感じでしたか?
7月はじめにメンバーが決まって、中旬にメンバーのところへ挨拶に行き、下旬にはワークショップを実施しました。そこではチーム名と動画のテーマ案を決め、十和田市の“魅力”について考えました。次に動画撮影講座を実施し、十和田市内のプロカメラマンに撮影方法を教えていただきました。動画の編集については私も教えるつもりでしたが、やっぱり高校生となるとみんなできちゃうんです! 私の中では動画制作の経験値も含めてバランスがよくなるようにとグループ分けしていたんですけど、初めてだと思えないほどとても上手な子もいて本当に驚きました。そして、その後から各体験をはじめました。
正直、高校生の時にこういう企画があったら私もやりたかったです。
自分が高校生ならこういうことがやりたい、というところを大事にされていたんですね。
そうですね。体験先には「私が高校生ならこういうことがしたい」みたいなところを入れたつもりです。
十和田湖でカヌー、道の駅で南部裂織体験、農泊体験、自然の中で遊ぶ鯉艸郷、十和田市現代美術館と官庁街通り、カフェ、菓子店…。取材先や動画の本数は決めていたんですか?
取材先は、いくつかはこちらで候補を決めていましたし、カヌー体験と南部裂織体験と農泊体験は絶対しようねって決めて、それ以外は、高校生が行きたいって言ったところに連れて行きました。
農家民泊というのも、インパクトがありましたね。
そうですね。ほぼ初対面の子たちが一緒の部屋でお泊まりするという。私も一緒に泊まった子たちと恋愛トークをしました。
泊まりこみの撮影までするんだ!というのはちょっと驚きでした。
そこまで体験させてくれる自治体はなかなかないんじゃないかな? でも、そこまでしたからこそ仲間意識が生まれたし、それぞれの視点を持ち寄って話ができたのかなと思っています。
「教える」「教わる」という一方通行だけではない関係が生まれたんですね。そういえば動画にも一部、登場されていましたね。
十和田湖でカヌーに乗ったり水遊びをしたりっていう場面ですね。撮影では私は引率の先生みたいな立ち位置で、一歩引いて高校生を見守ろうと思っていたんです。そしたら「ゆうみさんも水鉄砲しよう」って声をかけてきてくれて(笑)。友達みたいに一緒に遊べたのは楽しかったし、すごく距離が縮まった感じでもありました。高校生と同じ目線に立って体験できて、関係がぐっと近いものになりました。
ちなみに十和田湖のカヌー体験では、メンバーの1人がスマホを落としてしまったんですけど、なんと翌日の朝、カヌーガイドの方が発見してくださるというミラクルもあって(笑)。水底まで見渡せるほど透明度の高い十和田湖だからこそ見つかったとガイドさんが言っていました!
すごい! まさにミラクルでしたね!
さて、取材の後は編集作業があったわけですが、印象に残っていることはありますか?
今回の動画だけじゃなく、私が制作するときも同じなんですけど、動画の中には、人の顔をできるだけ出したいと思っていました。どうしてかというと、やっぱり人って、楽しそうにしている人がいるだけで気になると思うんです。建物とか食べ物もいいですけど、こういう「人」がいるから行ってみたい街だなって思ってもらえる方が、最終的に長く住んでもらえるんじゃないかと思っていて、そこを意識して作ってます。人に出てもらうとなると、確認作業が増えるのがネックですけど、それでも出していきたいなって。やっぱり笑ってる顔とかって、素敵じゃないですか。
確かに「人」って最強のコンテンツですよね。
誰かの笑顔を見て嫌な気持ちになるってことは、あまりないのかな。でも、そうなるとやっぱり作業は増えるんですよね。確認作業もあるから時間がかかるというのは、今回の高校生に関しても苦労したんじゃないかと思います。彼女たちが作ったものを私が確認して、修正指示を入れて、という流れにしていたんですけど、やっぱり大変だったんじゃないかな。
修正のやりとりは何度も?
できるだけ直したくはなかったんですけど、文字が間違っているところは指摘しましたね。
完成した動画の中では、文字を使った演出も印象的でしたね。あえてスポットや施設の名前を伏せておいて、最後に文字情報として出していたり。同じ場所に取材に行ったチームでも目の付けどころがそれぞれ違っていて、個性溢れる動画に仕上がっていました。
細かい演出について指示や修正を出すことはなかったので、すべて彼女たちのアイデアです。考えてやってくれて…本当に素敵な動画になりました!
今日こうして発表会を終えられて、あらためてどんな思いがありますか?
正直最初は、動画が完成するかな?…という感じもありました (笑)。心配な部分も正直あったんですけど、ちゃんと提出日に出して修正もしっかり間に合わせてくれました。テストや部活の時間など、そういう合間を縫って活動してくれたことに本当に感謝しています。私も動画を作っているので、こういうふうにしたらこんな可愛く見えるんだ!みたいな、高校生の感性から学ぶところも多かったです。
今日の発表会にしても、全体の司会は私がやらせてもらったんですけど、動画上映のパートは高校生自身に進行を任せたんですね。ちょっとアドバイスしただけで、すごくスムーズに進行してくれて…本当に、予想以上にすごかったですね。
高校生の皆さんが発表会の中で、「親よりも世代の近い大人と話す機会があまりなかったので新鮮だった」とか「将来の方向性が見えた」といったコメントをされていましたね。中には「ゆうみさんのように地域を盛り上げる企画をやりたい」と言っている高校生もいました。あの言葉を聞いてどう思われましたか?
とっても感動しました! まさか私のことを高校生が言ってくれるなんて、正直、思っていなくて…予想外の嬉しさでした。私にとっては1年がかりのプロジェクトということもあったので、高校生のみんなも活動を見ていてくれたんだなって思ったら、ウルウルきてしまいました。
初めて語ログに登場してくださったのは2023年の夏頃で、移住コンシェルジュとして着任したばかりでしたよね。それから1年余りが経ち、SNSを活用した動画での情報発信、イベント運営など、さまざまな事業に携わられています。そしてまた、1つのプロジェクトを終えられました。今、十和田のまちに対してどんな思いをお持ちでしょうか?
最初に取材していただいたのは移住して2か月くらいの時期かな? 私、なんて言っていましたっけ?
起業の準備を進めていらっしゃるところで、「色々な書類を書いて官庁街通りをよく通っています」と。
あぁ~(笑)。なんか、思い出してきました(笑)。おかげさまで今は会社を立ち上げて、地域の企業様の情報発信をお手伝いしたり、まちの中で飲食店をやらせていただいたりしているんですけど、その中で思うことは、やっぱり、応援してくれる人が多いまちなんじゃないかなと。若い人にちゃんと「頑張ってね」って言ってくれるまち。今日みたいな会に、こうやって集まってくれる人ですとか、何かをしたいって思ったときに協力してくれる人がいるっていうのが良いですね。
ある高校生のお母さまともお話ししたんですが、そうしたら「TowaProの活動が楽しいって家でも話していました」って聞いて、本当に嬉しいですね。
十和田市移住コンシェルジュとしての活動でも、ご自身が十和田市内で起業された経験から言っても、まちの人の温かさを感じていらっしゃるんですね。
優しくしてくれる人が多いんですよ。だから、これからもし十和田に住みたいとか、ここで何かやりたいという人も、「頑張りたい」って言えば応援してくれるはずです。私もその1人ですし。ウェルカムです!
頼もしいですね! これからも折に触れてお話を聞かせていただければ嬉しいです。ありがとうございました。
ありがとうございました。
TowaProプロジェクトの様子はこちら ※日々コレ十和田ナリ・公式Instagramへ移動します
https://www.instagram.com/towada.hibicollection/reel/C-w-XmpSVYr/
後編はこちら
https://towada-iju.com/collection/webmagazine/047
今回の取材場所
十和田市地域交流センター(とわふる)