移住者インタビュー

夢の農業と好きな料理を両立するなら。

COLLECTERS INTERVIEW#003

FARM CAFE orta

羽沢 友佐さん

出身地:青森県青森市(Iターン)
移住年:2009年
職 業:有機栽培農家・レストランオーナーシェフ

1983年生まれ。函館の調理師専門学校を卒業後、札幌のイタリアンレストランに勤務。22歳の頃、独学で有機野菜の試験栽培を開始。24歳で青森県に戻り、七戸町の農家で研修。2009年、26歳で十和田市に移住。無農薬・有機栽培農業を始める。2011年、十和田市中心街に「FARM CAFE orta(ファームカフェ オルタ)」をオープン。〈 URL 〉http://cafe-orta.jugem.jp/

Iターンで有機農業×レストランを両立。

 有機栽培農家とオーナーシェフ、2つの顔を持つ羽沢友佐さん。循環型農業と持続可能なライフスタイルを目指し、2009年にIターンと起業を果たしました。
十和田市中心街に開いたイタリアンレストラン「FARM CAFE orta」はオープン6年目。地元住民や十和田市現代美術館を訪れる観光客など、多くの人でにぎわう人気店に成長しています。一方、十和田市郊外にある畑では無農薬・有機栽培で野菜を生産。市場などに出荷するほか、レストランで調理・提供し、残りは加工品を手作りして、無駄なく使いきっています。
 移住前は「十和田湖くらいしかイメージがなかった」といいますが、「住んでみると、水と空気がすごくきれいで、食材を作るのにも料理をするにも最高の場所」と羽沢さん。
「農業とお店を両立させられる環境って意外と限られていると思うんですよ。都市化しすぎていると農業には向いていないし、逆に僻地すぎるとお店の経営が難しい。ここはバランスがとれていてやりやすい」と充実感をにじませます。

素材本来の味を追求。

 青森市出身の羽沢さんは、北海道の調理師専門学校を卒業。そのまま札幌市内のイタリアンレストランに就職しました。店で取り扱う地場産食材や提携農家との関わりの中で、次第に農業への関心を深めていきます。
「食材を掘り下げていった先に農業があった、という感じです」
 4年間の修業を終えると青森県へ戻り、七戸町で農業を学びます。研修先の農家の紹介で十和田市に農地を借りたのは、26歳の時でした。十和田市郊外にある農園では現在、トマト、にんにく、小松菜、ほうれんそう、ズッキーニなど、年間約50種類を栽培。すべて無農薬・有機栽培です。
 レストランとの両立を考え、主力作物はトマト。青森県の冷涼な気候とも合い土壌病が少ないため、無農薬でも収穫が安定するのがメリットです。品種や気候によって日々変わる状況を見極め、土の質、土を盛る高さ、水をやるペースなどを変えていく。作物の「いいところを伸ばす」のが羽沢さん流です。
 「葉っぱを取ったり角度を変えたり、毎日作業を替えながらベストを探る。栽培というよりは子育てに近い感覚ですね。育つ環境を整えることを意識しています」就農当初は販売先の確保に苦労したそう。しかし今では首都圏の飲食店のほか、地元の市場、産直施設、レストランや保育園にも直接卸すなど、販路を広げています。産直で農園の野菜のファンになり、レストランに来る人もいるとか。
 「街の規模のせいか口コミ力が強くて、反応がすぐに返ってくるのがおもしろい。食味、香りがしっかりしたものを目指しているので、『本物のトマトの味だね』って言われるのが何より嬉しいです」

小さな助け合いが大きな信頼につながる。

 朝起きたら、まずは自宅から車で10分ほどの畑へ。収穫などの作業もさることながら、その日のメニューを決めるための大事な時間でもあります。収穫した野菜を使って仕込みを始め、レストランの営業が終わるのは夜10時。忙しい毎日ですが、「勤めているわけではないのでマイペースでできますし、以前より気持ちはゆったりしています。畑仕事やお店で料理している時が一番楽しい」と微笑む羽沢さん。農閑期にまとめて休暇を取り、奥様と旅行に出かけるなど、しっかりリフレッシュすることも忘れません。
 十和田暮らし7年目を迎えた羽沢さんに移住、そして起業の極意を尋ねると、こんな答えが返ってきました。
 「『ビジョンを明確に』『甘えるところは甘える』『人とどんどん関わる』かな。まずビジョンがないと、できることもできなくなっちゃう。手を差し伸べてくれる人には素直に甘えて手伝ってもらえばいいし、人にしてあげられることはできるだけやって、縁をつないでいくことが大切だと思います。手を取り合うような関係の人ができると、どこへ行って何をやっても楽しいから」
 持ちつ持たれつ。小さな助け合いの積み重ねが、大きな信頼となって羽沢さんを支えています。

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